【Libraアイ】見過ごされてきた 片付けられないADHDの『夫』②
リーブラ相談室では、月に1回の「夫婦・家庭問題専門相談日」を設けています。離婚や別居、夫婦関係の不和、それに伴う子どもへの影響や子どもへの対応などのご相談を受けている元家裁調査官(臨床心理士)が、皆様のご相談のヒントとなる情報をコラム形式でお伝えしています。
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「見過ごされてきた 片付けられないADHDの『夫』」をテーマに、前回は片付けられないADHDの夫との離婚を決意した妻の話をみてみました。
夫が片付けないだけで離婚だなんて大げさだ、そんなことを言うなら私なんて何度離婚しても足りない、そう思った人もいるかもしれません。しかし実情はそんなに単純ではない、ということを今回はお伝えします。
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「片付けできない」は毎日のストレス
まず第一に、「片付けくらい」と侮ることなかれ、ということです。確かに、だれしも得手不得手があり、それを補うのが夫婦でもあります。しかし、問題は、毎日毎日目にする自宅で発生しており、一度気になりだすと止まらないということです。
また、「だらしない」「ずぼら」「整理整頓が苦手」といった性格レベルでの「片付けられない」とADHDを原因とする「片付けられない」はレベルが違います。ご相談に来られた方から写真を見せてもらう機会も多いのですが、誰しもが「そこには住めない」と感じるレベルです。そのため、そこで我慢して生活を続けることは地獄なのです。
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問題は「片付けられない」だけではない
そして2つ目のポイントは、夫婦の関係性に何かしら問題があることが多いということです。
例えば、Aさんは、自分でできることはやろうと考え、夫の代わりに片付けようとしましたが、「勝手に触るな」とキレられてしまいました。また、最後は辛い心情を吐露し、この問題を一緒に考えてほしいと夫に伝えました。しかし、夫はAさんの気持ちを理解することはありませんでした。
こうした夫とAさんは、日々どんな生活を送っているでしょうか?
モノが溢れた部屋で、楽しく夕食を囲み、食後はリビングで一緒にテレビを観たでしょうか。
休日は一緒に外食をしたり、買い物にでかけたりしたでしょうか。
恐らく、既にそうした時間はなくなっていたはずです。一方が不快な生活を強いられ、その状況を相手が軽視している関係性こそが問題です。
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心地いい生活を大切に
片付けの問題に限らず、衛生観念や生活リズムの違いによって、居心地の悪い生活を強いられている人は意外と多いのではないでしょうか。本来であれば、そうした違いをすり合わせて生活するのが夫婦ですが、立場の強い者の声が大きすぎて、一方が我慢を強いられる結果になっていませんか?
離婚するかどうかは別にして、一度しかない人生、自分らしく、心地良い生活を送ることを大切にしてほしいと思います。
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いかがでしたか?ご自身、ご自身のパートナー、ご家族などで「あてはまるかも」と思った方もいるかもしれません。「自分だけ我慢すれば」と、自分を抑えすぎていませんか?
リーブラ相談室では、夫婦関係や家族の問題などのお話を伺うほか、自治体のサポートなどについても、お伝えしています。
一人で悩まず、専門家への相談も検討してみてください。
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