【親子関係編】一番難しいのは母と娘の関係?―毒親編―
リーブラ相談室では、月に1回の「夫婦・家庭問題専門相談日」を設けています。離婚や別居、夫婦関係の不和、それに伴う子どもへの影響や子どもへの対応などのご相談を受けている元家裁調査官が、皆様のご相談のヒントとなる情報をコラム形式でお伝えしています。
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【親子関係編】
一番難しいのは母と娘の関係?―毒親編―
以前、「毒親」という言葉が流行りましたね。所謂「毒親」を持つ子どもの立場の方が、結婚や就職という形で母親から巣立とうとした際、様々な困難に出会い、相談に来られます。
毒親では「過保護、過干渉、過管理、価値の押し付け」なども特徴としてあげられます。一見すると、ネグレクトや暴力など、いわゆる「虐待」をする毒親より、一般的に理解しにくいと感じるかもしれません。
本当に「毒親」なの?
このような過干渉等の毒親がやっかいなのは、「あなたが心配だから」「あなたのために」という枕詞を使う点です。子どもが幼いうちは、自分のことを心配してくれる優しい母親だと思ってしまいます。そして、成長の過程で、この枕言葉が母の呪縛であることに気付くのです。
そして呪縛といえば、「お母さんの言うことを聞いておけば大丈夫!」という言葉も同様です。この言葉の裏には、「言うことをきかないと失敗するよ」という呪縛が込められているのです。
こうした母子関係を築いてきた後、多くは子どもの立場の方からご相談があります。
ご相談の内容は様々ですが、驚くようなエピソードが飛び出すことも少なくありません。
例えば、結婚相手を選ぶ際の過干渉です。
大切な娘の結婚相手ですから、ある程度意見したり、関わりたいのは当たり前のこと。しかし、毒親は「ある程度」を大きく超えてきます。娘の自由恋愛を許さず、自分が選んだ相手と結婚させるためにスマートフォンを持たせない母親。また、パートナーと別れさせるために、相手の家に怒鳴り込んだり、同棲している家から娘を連れて帰ってきてしまう母親もいました。
みなさんはきっと「親の言うこときかなければいいじゃない」と思うでしょう。既に成人しているわけですから、親になんと言われようとスマホも買いなおせばいいし、また交際相手の家に戻ればいい、と。
しかし、幼いころから管理されてきた人の思考はそんなに自由ではありません。
現状に困ってはいるものの、その問題を親の反対を押し切って解決するのではなく、親に許可してもらうことが前提なのです。「親の愛」という呪縛です。
では、なぜ母親は毒親化してしまうのでしょうか?
私はその原因のひとつが「寂しさ」だと感じています。例えば、夫婦関係に失敗し、夫から愛されない寂しさ。または、本当はバリバリ働いてキャリアアップしたいのに、それができなかった寂しさ。そういった自分の寂しさや満たされなさを子育てに反映してしまうのです。
外から見ると幸せそうな家庭でも、その幸せが家族の誰かの犠牲の上に成り立っている場合、必ずひずみが生じます。自立しようと思ってもできない(最後の一歩が踏み出せない)、自分で自分のことを考えることができない(誰かに言われないとできない)・・・。
それぞれが自己実現し、家族の幸せだけではなく、自分自身の幸せも求められる関係でありたいものです。
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