【夫婦問題編】寿退社を考える前に・・・
リーブラ相談室では、月に1回の「夫婦・家庭問題専門相談日」を設けています。離婚や別居、夫婦関係の不和、それに伴う子どもへの影響や子どもへの対応などのご相談を受けている元家裁調査官が、皆様のご相談のヒントとなる情報をコラム形式でお伝えしています。
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【夫婦問題編】
寿退社を考える前に・・・・・
「結婚はゴールではない」などと言われると、「そんなこと分かってる!これから幸せになる人生の第二幕の始まりなのよ!」と思ったあなた。本当に分かっているでしょうか?
頭では分かっていても、結婚や出産を機に仕事を辞める方がいらっしゃるのも事実です。
もちろん、寿退社を「良し」とする社会の風潮や、子育てしながらキャリアを継続する難しさなどの社会問題は大きな課題です。自分で気がついていなくても、バイアスがかかっていることもあるでしょう。それと同時に、本人の「ゴールに到達した感」がその後の問題となるのです。
ここで、ちょっと典型事例を紹介してみます。
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35歳で婚活に成功したAさん。夫も、「僕の収入で十分生活できるから、君は家庭を守ってくれたらいいよ。」と優しい言葉をかけてくれ、ストレスだった仕事を辞め、家庭に入りました。その後、無事に長男を授かり、また夫の収入・役職も順調に上がり、今や眺めのいいタワマンで優雅な専業主婦生活です。
・・・と思っているのは周囲だけ。実はAさん、夫のモラハラに苦しめられていました。
夫は、毎日のように、「誰のおかげでこんな生活ができている」「お前は消費するだけしか能がない」「食事がまずい」などと暴言をあびせてきます。
そして、生活費を絞り、いつも馬鹿にしたような目で見てきます。
Aさんに自分の時間はなく、日々怯え、感情が欠落していく気がします。昔の友人ともゆっくり話ができません。
しかし、離婚には踏み切れません。45歳のAさん。今更、正社員として働く自信もありませんし、気力もわきません。生活レベルも落とせません。離婚によって子どもに不自由そして心的影響をかけるのではと不安です。
Aさんは、自分を押し殺して、この苦痛な夫婦生活を続ける選択をするのでした。
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上記の事例では、Aさん自身の「自分らしい」未来が見えません。結果的に結婚がゴールになってしまい、人生第2幕のスタートが自分を押し殺す生活のスタートになっているのです。
もしAさんが仕事を続けていたらどうなっていたでしょうか。
経済的・生活的自立、自分らしさを出せる社会とのつながり、自立した自分らしい母親・女性像の子どもへの提示など、今の課題・不安が少しでも解消される可能性がみえます。仕事を続けることがすべてを解決するわけではありませんが、収入を得て自立できる力を持っておくことは、間違いなく人生の選択肢を増やします。
「今仕事をしていないからダメだ」ということはありません。自分らしさを取り戻すために、自立を図るために、イキイキと過ごすために、子どもと穏やかに暮らすために、、、様々な公的サポートや法律があることを知っていますか?
一人で悩まずに、公的サービスなどを活用してみることも一つの考え方だと思います。リーブラでもご相談、また必要に応じて公的サービスも紹介しています。
相談員と一緒に自分自身を客観的にみつめ、自己肯定感をあげられるように一緒に考えてみませんか?
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